HISTORY
2021.08.17

世界・言語・立場・世代を超えて

ネパール大震災から生まれたDARE DEMO DOME

2015年4月25日、ネパールの首都カトマンズ北西約80キロを震源とするマグニチュード7.8の大きな地震が起きました。被害の全容が明らかになるには時間がかかりましたが、最終的に周辺国をふくめて8900人を超す死者が出て、約49万棟の家屋が全壊したとみられています。

DAN DAN DOMEの前身である「DARE DEMO DOME」は、被害を受けたひとたちへ一時的なシェルターとして、日本から手作りのドームを贈る活動から生まれました。日本のホームセンターで手に入る道具と材料を使い、専門的な工作技能がなくても必要な精度が確保できること。飛行機の個人預け荷物の大きさと重さの範囲に収まること。現地では、言葉の通じない村のひとたちと身振り手振りのコミュニケーションだけでも完成させられること。

この村を訪れた初めての日本人がたった一人、色とりどりのパーツを広げ、何やら不思議なことを始めたとき、野次馬の中で最初に手伝ってくれたのはちょっぴり生意気そうな小さな男の子でした。日本人のやる手順を一度真似て納得したその少年が、野次馬たちに向かって何か言うと、あとは文字通りあっという間。噂を聞きつけて谷を2つも3つもこえた別の村から、見物しにやってくるひとまでいました。「ブルーシートより丈夫で、トタンより暑さや寒さに強く、中がとても明るい。それに地震で揺れても怖くない。」完成したドームは村のひとたちにそう喜ばれました。

ネパールの支援活動を通じて積み上げられた、言語・立場・世代を超えたひととひと同士の営みの知見と想い出は、DAN DAN DOMEのなかに息づいています。

山岳村の子どもたちと(2015年/タルボタン村/ネパール)